第18回
「AIがヒトの仕事を奪う」について考えてみる——スマホの高性能カメラが写真家を消さなかった理由
芳村裕太 · LLC Rip.D
- 営業マネージャー
- AI
- マインドセット
地方中小企業の AI 導入・活用支援をしているLLC Rip.D(リップ)代表の芳村です。
このブログは営業チームのマネージャー・経営者さまに向けて書いています。
営業領域20年超の現場経験とプロのエンジニアのもとで学んだ AI に関する専門的な知見を融合して、事業活動のお役に立つ情報を「現場の言葉」でわかりやすくお伝えしています。
「この作業、AIに取られちゃうんですかね」
チームメンバーから、そんなふうに冗談交じりに聞かれたことはないでしょうか。あるいは、日々の問い合わせ対応や報告書作成がAIでできると知り、自分やチームの存在意義に、漠然とした不安を覚えたことはないでしょうか。
AIによる自動化のニュースを見るたびに、「自分たちの仕事はこの先なくなるのでは」と感じてしまう。それは自然な反応です。ただ、歴史を振り返ると、少し違う答えが見えてきます。
この記事でわかること
- 「AIに仕事を奪われる」不安の正体
- 効率化は仕事を減らすのでなく、求める水準を上げるという考え方
- なくなるのは作業、なくならないのは**「任せ方と責任」**
「AIに仕事を奪われる」不安の正体
結論からお伝えします。AIによって仕事がなくなるわけではありません。求められる仕事の中身が、より高度なものへと変わっていくのです。
これは、専門家のもとで実践的にAIを学んでいるなかで「なるほど」と腑に落ちた話なのですが、100年以上前、蒸気機関の効率が上がれば、少ない石炭で同じ仕事ができるようになるので、石炭の消費量は減るはずだと思われていました。ところが実際は逆で、消費量は増えました。効率が上がりコストが下がると、使える場面が爆発的に広がり、結果として需要そのものが増えたのです。
効率化は仕事を減らすのでなく、求める水準を上げる
この現象は、身近な例でも起きています。
デジタルカメラやスマートフォンの普及で、誰でも綺麗な写真を撮れるのが当たり前になりました。フィルムカメラやデジカメの市場は縮小しましたが、写真家という職業は消えていません。「ただ綺麗に撮るだけ」の基準が誰にでも手が届くものになった分、今は何を撮るか、どう表現するかという、より高度な仕事に価値が移っただけです。
AIも同じ道をたどると考えられます。単純作業はAIに置き換わっても、その分「何を任せ、最後にどう責任を持つか」を設計する、より高度な役割の需要が生まれていきます。
なくなるのは作業、なくならないのは「任せ方と責任」
では、実際のチームではどう考えればいいのでしょうか。
たとえば、定型的な問い合わせへの返信文の作成は、AIに任せられるようになっていきます。ですが、「どんな返信が本当にお客様の満足につながるか」を設計し、最後に責任を持って確認する仕事はなくなりません。むしろ、そちらに時間を使えるようになるという、前向きな転換として捉えることができます。
今日から始める小さな一歩
チームの定型業務を1つ選んでみてください。
そして、「AIに任せる部分」と「自分たちが最後に責任を持つ部分」を、分けて言葉にしてみてください。それだけで、漠然とした不安が、具体的な役割分担に変わっていきます。
まとめ
AIによって、仕事がなくなるわけではありません。
効率化は需要を減らすのでなく、求める水準を上げる——なくなるのは単純作業で、なくならないのは任せ方と責任を持つ役割——これが今日の takeaway です。
