第7回
AIはあなたを覚えていない——「毎日初対面の優秀な新入社員」
芳村裕太 · LLC Rip.D
- 営業マネージャー
- AI
- AIの限界
地方中小企業の AI 導入・活用支援をしているLLC Rip.D(リップ)代表の芳村です。
このブログは営業チームのマネージャー・経営者さまに向けて書いています。
営業領域20年超の現場経験とプロのエンジニアのもとで学んだ AI に関する専門的な知見を融合して、事業活動のお役に立つ情報を「現場の言葉」でわかりやすくお伝えしています。
こんな経験、ありませんか。
営業マネージャーの方から、こんな声をよく聞きます。
「昨日、AIに会社のことや商材の特徴を丁寧に説明したんです。でも今日また相談しようとしたら、また一から説明を求められて……なんで毎回同じことを言わないといけないんだろう、と地味にストレスなんです」
これは、あなたの使い方が悪いわけではありません。今回は、その理由についてお話しします。
この記事でわかること
- **「また説明しないといけないの」**というストレスの正体
- AIが会話を覚えていないという基本的な性質
- ストレスなく付き合うための考え方
「また説明しないといけないの」という地味なストレス
結論からお伝えすると、AIが前日の説明を覚えていないのは、故障でも不親切でもありません。そういう仕組みだからです。
そして、これを知っているかどうかで、AIとの付き合い方が大きく変わります。
AIは、会話を覚えていない
AIは、皆さんとの会話を記憶していません。昨日の会話も、先週の指示も、一切覚えていないのです。記憶しているように見えることはありますが、それは見え方だけの話です。
AIには「モデル」と呼ばれる本体があり、これは、ある時点までの情報を学習して固まったものです。私たちがAIとやり取りするときにやっていることは、実はとてもシンプルです。毎回ゼロから、テキストを送って、テキストが返ってくる——構造としては、それだけなのです。
「毎日初対面の優秀な新入社員」と考える
これは、専門家のもとで実践的にAIを学んだときに「これはわかりやすい」と感じた例えなのですが、イメージとしては、毎日「初めまして」でやってくる、優秀だけど記憶のない新入社員と働いているようなものだと捉えると、しっくりきます。
能力はとても高い。頼めば的確に動いてくれる。でも、前日の説明だけは覚えていない。だから、また一から伝える必要がある——面倒に感じるのは当然のことです。
ただ、これがわかっていれば「なぜ覚えていないんだ」とイライラする必要はなくなります。最初から、そういうものだと分かって付き合えばいいだけの話だからです。
営業現場での付き合い方
この性質を踏まえると、営業マネージャーの現場ではこう付き合うのがおすすめです。
「この前と同じ話です」と省略せず、毎回、必要な前提を短くまとめて伝える。これだけで、やり取りがぐっとスムーズになります。
たとえば、自社の商材の特徴やチーム構成、よく相談する内容の背景など、繰り返し使う前提はメモとして1つにまとめておくのがおすすめです。相談のたびに、そのメモをコピーして貼り付けるだけで、一から説明し直す手間がほとんどなくなります。
新入社員に何度も同じ話をするのは面倒でも、要点をまとめたメモを渡すのは、そこまで大変な作業ではないはずです。
今日から始める小さな一歩
次にAIに相談するとき、まずはこんなメモを1つ作ってみてください。
自社の商材、チーム構成、よく相談する背景を3〜4行でまとめたもの
それを手元に置いておき、相談のたびにコピーして渡すだけで、「また説明しなきゃ」という手間が大きく減ります。
まとめ
AIが前日の説明を覚えていないのは、仕組み上そうなっているだけです。
毎日初対面の優秀な新入社員だと思えばいい——覚えていないのが普通だから、毎回さっと前提を伝える。これが今日の takeaway です。
次の記事では、AIが間違った答えを返す「ハルシネーション」より先に知っておきたい、AIの3つの壁についてお伝えします。
