第21回
AIの最高到達点は90点——残り10点に自社の独自性が宿る
芳村裕太 · LLC Rip.D
- 営業マネージャー
- AI
- 提案書
地方中小企業の AI 導入・活用支援をしているLLC Rip.D(リップ)代表の芳村です。
このブログは営業チームのマネージャー・経営者さまに向けて書いています。
営業領域20年超の現場経験とプロのエンジニアのもとで学んだ AI に関する専門的な知見を融合して、事業活動のお役に立つ情報を「現場の言葉」でわかりやすくお伝えしています。
AIに提案書の下書きを頼んだら、数分で構成もしっかりして見栄えの良い資料が出来上がった。「すごい、これでもう十分では」——そう感じたことはないでしょうか。
ところが、いざお客様に出す段になって読み返すと、自社の状況にそぐわない言い回しや、微妙にニュアンスがずれた表現が気になってくる。結局、細部を直すのに時間がかかってしまう。
これは、よくある落とし穴です。
この記事でわかること
- AIが出す「それっぽい」提案書に満足してはいけない理由
- 90点までは一瞬、でも100点への10点の詰めが本当の勝負という構造
- 「仕上げる」は人間にしか詰められないという事実
AIが出す「それっぽい」提案書に満足していませんか
結論からお伝えします。AIを使えば、90点程度のものは一瞬でできます。でも、そこから100点に近づけようとすると、急に難しくなります。自社らしさが宿るのも、本当に現場で使える品質になるのも、この最後の部分です。
90点までは一瞬、100点への詰めが本当の勝負
これはAIの限界というより、どんな仕事にも共通する構造です。
90点の車を、恐ろしく早く大量生産できるメーカーがあったとします。それは成り立つでしょうか。平均90点、つまり10台に1台は事故が起きるかもしれない——そんな車は、誰も安心して買えません。
プロアスリートの世界も同じです。足が速い人はたくさんいますが、オリンピックレベルのタイムに近づけば近づくほど、一気に難しくなります。プロの料理人が365日、常に最高のものを出し続けられることこそ、お金を払うに値する付加価値です。
AIは、よくあるパターンの仕事は驚くほど得意です。でも、あなたの会社の、あなたのお客様に合わせた、固有の状況の詰めになると、途端に苦手になります。90点までは一瞬で到達できても、そこから100点に近づけるには膨大な労力がかかるのです。
「仕上げる」は、人間にしか詰められない
仕事を「調べる」「考える」「作る」「仕上げる」の4つに分けると、最初の3つはAIが得意な領域です。検索も、選択肢の整理も、たたき台づくりも、AIは驚くほど早くこなしてくれます。
でも、最後の「仕上げる」だけは違います。この言葉で本当にお客様に伝わるか。うちの状況にこの言い回しは合っているか。ここは、人間が自分の目で詰めるしかありません。そして、この最後の一手間にこそ、エネルギーがかかります。
AIが出したものを「これでもう十分」と受け取ってしまうと、この最後の詰めを飛ばしてしまうことになります。それが、後から気づく資料の説得力の弱さにつながっているのです。
今日から始める小さな一歩
次にAIに資料を作らせたら、それを「一次案」として受け取ってみてください。
そして、「これで本当にお客様に伝わるか」を自分の目で確認する工程を、提出前に必ず1つ挟んでください。この最後の一手間こそが、自社の独自性を宿す付加価値になります。
まとめ
AIで90点のものは、一瞬で作れます。
でも自社らしさが宿り、本当に現場で使える品質になるのは、最後の10点——そこだけは人間にしか詰められない——これが今日の takeaway です。
