第36回
やめることを決める。——組織のAI活用を持続させるヒント
芳村裕太 · LLC Rip.D
- 営業マネージャー
- AI
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地方中小企業の AI 導入・活用支援をしているLLC Rip.D(リップ)代表の芳村です。
このブログは営業チームのマネージャー・経営者さまに向けて書いています。
営業領域20年超の現場経験とプロのエンジニアのもとで学んだ AI に関する専門的な知見を融合して、事業活動のお役に立つ情報を「現場の言葉」でわかりやすくお伝えしています。
「来月から、チームでAIを使っていこう」と決めた。最初の週は全員が触ってみて、チャットにも報告が上がってくる。二週目、三週目と進むうちに投稿が減り、月末の繁忙期に入ったあたりで、誰も話題に出さなくなる。
そして翌月、また別の取り組みが始まる。前のものがどうなったのかを振り返る時間は、どこにも取られていない。。。
この記事でわかること
- 決めたことが月末になると消えてしまう本当の理由
- 「時間ができたらやる」がなぜ実現しないのか
- 始める前に決めておくべき、もう一つのこと
忙しさに負けたのではなく、負ける設計になっていた
結論からお伝えすると、続かなかったのは本人たちのやる気が足りなかったからではありません。新しいことを足すだけで、「引く」ことをしなかったからです。
一日の長さは決まっています。そこにAIを使う時間を新しく足したなら、理屈の上では何かが押し出されているはず。押し出されるのは決まって「あとからでもいい」ことになります。新しい取り組みは、たいてい「あとからでもいい」の側に分類されていることが多くあります。
締切のある仕事とそうでない仕事が並んだとき、どちらを優先するかで人は迷いません。商談が立て込んだ週に消えるのは、いつも締切のないほう。これは意志の強さとは別の問題です。
「時間ができたら」は、待っていても来ない
もう一つ、よくある考え方があります。「今は忙しいから、落ち着いたら本腰を入れよう」というものです。
ですが、落ち着いた週が来ても、そこは別のことで埋まります。空いた枠は自然と何かに吸い込まれていくもので、置いておいても残りません。少し前に「落ち着いたら」と言っていたことのうち、実際に始まったものがどれくらいあるでしょうか?
つまり、時間は空くのを待つものではなく「空ける決断をすること」が重要な考え方になります。
消えずに残るのは、何かを手放して空けた枠
消えずに残っている取り組みには、共通点があります。始めるときに、何かを手放して枠を空けているのです。この順番が入れ替わると、続きません。
たとえば、毎週45分の定例を30分にする、という手放し方があります。短くすると宣言した瞬間に、参加者全員が「浮いた15分の行き先」を知っている状態になります。空いた15分はもう自由時間ではなく、AIの取り組みのために作り出した15分として、全員の頭の中に置かれる。
ここが仕組みとして効いているところです。何かを犠牲にして確保した枠は、簡単には手放せなくなります。逆に、何も手放さずに始めた取り組みは、いつでも取り下げられる状態のまま置かれているということでもあります。締切のある仕事に押し出されるのは、決まってそちらです。
一人で完結しない点も効いています。「定例を30分にします」とチームに伝えた時点で、その判断は自分だけのものではなくなります。手放すと宣言したことのほうが、始めると宣言したことよりも、周りの記憶に残るものが多いとこれまでの現場経験から感じています。
今日から始める小さな一歩
今チームで行っている色々な業務を思い浮かべて、「もし来週から自分がいなくなったとしても、この業務は無くならずに誰かが引き継ぐだろうか?」と一つずつ考えてみてください。
全員が目を通していることになっている報告、持ち回りで作っている資料、毎週埋まっている定例の後半。引き継がれないものは、たいてい止めても問題が起きません。1つ見つかったら、それが今回手放す候補です。
まとめ
チームで始めたことが月末に消えてしまうのは、意志の弱さではなく、何も引かずに足しただけということがよくある。空いた時間は待っていても手に入りません。
始めると決めた日に、やめることを1つ書く——続くかどうかは、その一行で決まる——これが今日の takeaway です。
