第5回
若手の「AI上手」より、ベテランの「経験値」が現場で活きる理由
芳村裕太 · LLC Rip.D
- 営業マネージャー
- AI
- マインドセット
地方中小企業の AI 導入・活用支援をしているLLC Rip.D(リップ)代表の芳村です。
このブログは営業チームのマネージャー・経営者さまに向けて書いています。
営業領域20年超の現場経験とプロのエンジニアのもとで学んだ AI に関する専門的な知見を融合して、事業活動のお役に立つ情報を「現場の言葉」でわかりやすくお伝えしています。
前回まで、AIとのやり取りの型についてお伝えしてきました。ここからは少し視点を変えて、ツールを使えることと使いこなすことの差について考えてみます。
自分もAIを日常的に使うようになってきた。でも、周りを見渡すと、若手のメンバーも当たり前のようにAIを使っている。むしろ操作は若手の方が早いくらいで——自分がリードできることは、もう残っていないんじゃないか。ふと、そんな感覚に襲われる瞬間があります。
AIを「使えるかどうか」で不安になる必要は、実はありません。今回は、これから本当に差がつくのはどこなのか、という話をします。
この記事でわかること
- AIを**「使えるだけ」では差がつかなくなってきている**理由
- これから差がつく、たった1つの視点
- 営業マネージャーだからこそ持てる強み
「使えるだけ」では、もう差がつかない
結論からお伝えすると、AIを使えること自体は、もう特別な能力ではなくなってきています。
チームの誰もが日常的にAIに触れる時代になりました。若手のメンバーの方が、新しいツールの操作に慣れているということも珍しくありません。
だからといって、営業マネージャーとしての立場が揺らぐわけではありません。「使える」はいわば当たり前の前提になりつつあるだけで、そこで勝負する必要はもうないのです。
差がつくのは「何を解決したいか」
では、これから何で差がつくのか。
それは、「何を解決したいか」という目的意識を持っているかどうかです。
同じAIを渡されても、「とりあえず便利そうだから使ってみる」人と、「この商談の準備にかかっている時間を減らしたいから使う」人とでは、たどり着く結果がまったく違います。目的意識がある人ほど、AIを自分の仕事に食い込ませる使い方ができます。
目的意識は、仕組みを理解することから生まれる
では、その目的意識はどこから生まれるのか。
料理を思い浮かべてみてください。台所に立って、目の前にある食材を見たとき、料理に慣れている人は、その場にあるものだけでそれなりの一皿を作れます。食材の扱い方や火加減のコツを、体で理解しているからです。
一方、レシピ動画をそのまま真似するだけの人は、レシピがなければ何を作っていいかわかりません。同じ食材を渡されても、見えている可能性の数がまったく違うのです。
これは、AIの使い方にもそのまま当てはまります。自分の仕事の仕組み——商談がどう進み、どこで時間がかかり、何が成果につながっているのか——をよく理解している人ほど、「ここにAIを当てはめれば楽になる」という発想が自然に湧いてきます。仕組みへの理解の深さが、目的意識の土台になっているのです。
誰よりも仕組みを理解しているのは、マネージャー自身
チームの営業プロセスを一番よく理解しているのは、日々の商談も、部下の報告も、数字の動きも見てきたマネージャー自身です。その理解は、一朝一夕の操作の速さでは追いつけない、積み重ねた経験があるからこそ持てるものです。AIツールの新しい使い方を誰よりも早く覚えることが仕事ではありません。
自分のチームのどこに時間がかかっていて、どこにAIを当てはめれば楽になるのか——それを言語化できる立場にいるのは、マネージャーだけです。若手が操作に詳しくても、この「どこに当てはめるか」を決める役割は代わりが利きません。
たとえば、週報の作成に時間がかかっているなら「ここにAIを当てはめよう」、商談前の情報整理に時間を取られているなら「ここを楽にしよう」——そうした判断ができるのは、現場の仕組みを一番理解しているマネージャーです。
今日から始める小さな一歩
次にAIを使うとき、いきなりツールを開く前に、こう自分に聞いてみてください。
これで、何を解決したいんだろう?
たった1行、目的を先に書き出してから使い始めるだけで、AIの使い方が変わってきます。
まとめ
AIを使えること自体は、もう武器にはなりません。
これから差がつくのは、何を解決したいかという目的意識と、そのもとになる仕事の仕組みへの理解——これが今日の takeaway です。
若手がAIの操作に詳しくても、焦る必要はありません。目的意識も仕組みへの理解も、現場を積み重ねてきた経験があるからこそ育つものです。だからこそ、それを言語化できる立場にいるのは、営業マネージャーであるあなた自身なのです。
次の記事では、YouTubeなどで見かける「AI自動化」の情報と、現場の実態のギャップについてお伝えします。
