第12回
プロンプトを上手にするより「AIが働きやすい環境」を整える
芳村裕太 · LLC Rip.D
- 営業マネージャー
- AI
- AIの限界
地方中小企業の AI 導入・活用支援をしているLLC Rip.D(リップ)代表の芳村です。
このブログは営業チームのマネージャー・経営者さまに向けて書いています。
営業領域20年超の現場経験とプロのエンジニアのもとで学んだ AI に関する専門的な知見を融合して、事業活動のお役に立つ情報を「現場の言葉」でわかりやすくお伝えしています。
AIをうまく使うには、指示文(プロンプト)の書き方をもっと工夫しないといけない。そう思って、いろいろ言い回しを変えてみても、思ったような結果が出ないことがある。自分の聞き方が下手なのかな、と感じてしまう。
実は、指示文の工夫だけに頼らなくていい理由があります。
この記事でわかること
- 指示文の工夫より大事になってきたこと
- AIを動かす人に求められる本当の役割
- ここまでお伝えしてきた話のつながり
「もっと上手な指示文があるはず」という思い込み
結論からお伝えすると、AIをうまく使うためのコツは、指示文を上手にすることだけではありません。
少し前までは、うまい指示文を書くことがとても重視されていました。ただ、今は状況が変わってきています。
指示文の工夫より、大事になってきたこと
AIのモデル自体がどんどん賢くなり、指示文が多少雑でも、こちらの意図を汲み取ってくれるようになってきました。そのぶん、指示文そのものの工夫が持つ価値は、相対的に小さくなってきています。
代わって大事になってきたのが、AIにどんな情報を渡すか、どんな環境で働かせるかという、全体の段取りです。
AIを動かす人の仕事は「環境を整える」こと
これは、パソコンに例えるとわかりやすいと思います。
どんなに高性能なパソコンを渡されても、使い方の段取りがわからなければ、そこから価値は生まれません。AIも同じで、頭脳がいくら優秀でも、作業スペースがいくら広くても、それを使う人間の段取りが悪ければ、力を発揮できません。
どんなに優秀な新入社員でも、机の上がぐちゃぐちゃで、指示もバラバラに飛んでくる職場では実力を発揮できないのと同じです。逆に、環境さえ整っていれば、多少雑な指示でも意図を汲んで動いてくれます。
AIを使う人間の役目は、細かい指示文を練ることより、AIが働きやすい環境を整える司令塔になること——そう考えると、これからの付き合い方が見えてきます。
ここまでの3つの壁は、1つの考え方でつながっている
AIには、回答がズレやすくなる構造的な原因として「机の広さ」「注意の分散」「一方通行の執筆」という3つの壁があるとお伝えしてきました。長いやり取りで前提が忘れられるのが「机の広さ」、指示を出しすぎると1つ1つが埋もれてしまうのが「注意の分散」、そして長い文章を一気に書かせると後半が雑になりやすいのが「一方通行の執筆」です。
これらは、それぞれ別のテクニックのように見えて、実はすべて「環境を整える」という1つの考え方につながっています。
長引いたチャットを新しく立ち上げ直すのも、指示を絞り込むのも、資料を3つに絞って渡すのも、どれも「AIが働きやすい状態を作ってあげる」ための一手間です。「一方通行の執筆」も同じで、長い提案書や議事録を一気に書かせるのではなく、章やセクションごとに区切って書かせれば、後半が雑になるのを防げます。指示文の言葉選びを工夫するより、この一手間の方が、結果に直結します。
今日から始める小さな一歩
次にAIへの指示がうまくいかないと感じたら、指示文を練り直す前に、こう確認してみてください。
机は片付いているか? 指示は絞れているか? 渡す資料は絞れているか? 長い文章を一気に書かせようとしていないか?
この点が整っていれば、指示文は多少シンプルでも十分に伝わります。
まとめ
AIをうまく使うコツは、指示文を上手にすることだけではありません。
渡す情報を整理して、AIが働きやすい環境を作ってあげること——これが今日の takeaway です。
次の記事では、AIを使い始めたのに続かなかった、という悩みを「3段階」で整理する考え方をお伝えします。
