第14回
AIへの指示、作り込みすぎていませんか?——最初は「雑に1回投げる」が正解
芳村裕太 · LLC Rip.D
- 営業マネージャー
- AI
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地方中小企業の AI 導入・活用支援をしているLLC Rip.D(リップ)代表の芳村です。
このブログは営業チームのマネージャー・経営者さまに向けて書いています。
営業領域20年超の現場経験とプロのエンジニアのもとで学んだ AI に関する専門的な知見を融合して、事業活動のお役に立つ情報を「現場の言葉」でわかりやすくお伝えしています。
毎日来るお客様からの問い合わせメール。この返信をAIに任せたいと考えた営業マネージャーが、まずやりがちなことがあります。
条件をあれこれ盛り込んだ、長い指示文を作ることです。
「うちの商品はこういう特徴があって」「こういう言い回しは避けたくて」「文字数はこれくらいで」——ちゃんとした指示を作らないと、AIはうまく動いてくれない気がする。そう思って、任せる前に時間をかけて指示文を練り上げてしまうのです。
ところが、これが遠回りになっていることがよくあります。
この記事でわかること
- 指示を作り込みすぎるとかえって遠回りになる理由
- AIを育てる5つの段階
- 外したときに、まず試すべき軽い直し方
「作り込んでから任せる」は、実は遠回り
結論からお伝えします。AIへの指示は、最初から作り込まなくていいんです。まず雑に1回投げて、足りないものだけ直す——この順番のほうが、負担が少なく、たどり着くのも早いことがほとんどです。
あれこれ細かく指示を出すこと自体が、かえってAIの動きを窮屈にしてしまうことがあります。必要最小限の頼み方でどこまでできるのかを、まず見てみるべきなのです。
AIを育てる5つの段階
繰り返しAIに任せたい仕事があるとき、育て方には順番があります。「問い合わせメールへの返信」を例に、5つの段階を見ていきましょう。
1段階目 ゴールを言葉にする 「お客様が読んで、対応してもらえたと安心でき、次に何をすればいいかがわかる状態になる」——これが返信のゴールです。ゴールを決めずに任せると、AIがどの方向に向けて仕事をすればいいかわからず、出てきたものを評価することもできません。
2段階目 まず雑に1回投げる 「このお客様の問い合わせに返信して」——具体例も見せず、これだけで一度頼んでみます。これは手抜きではなく、偵察です。雑に投げてみることで、何が足りないのかが初めて見えてきます。もしこれだけで満足できる返信ができるなら、それに越したことはありません。
3段階目 手本を1個、自分の手で作る 雑に投げた結果を見て、これぞという返信文を1通、自分の手で書きます。最初からたくさんのお手本を用意する必要はありません。2〜3個あれば、AIは十分に理解してくれます。
4段階目 足りなければ、軽い直し方から試す 手本を渡しても、AIは毎回100点を出せるわけではありません。ここで、いきなり大がかりな仕組みづくりに手を出さないことが大切です。まずは「手本をもう1つ足す」「頼み方の言葉を少し整える」といった軽い直し方から。それでも足りなければ「別の目でチェックしてもらう」、それでも難しければ「仕組みでチェックする」——下から順に、軽い手を試していきます。
5段階目 磨き続ける 気になる点があれば直していきますが、あれもダメこれもダメと注文を足し算し続けると、かえって基礎的なことも守れなくなってしまいます。何を改善したのかを自分で把握しながら、磨き続けることが大切です。
外したときも、いきなり大がかりな手を使わない
4段階目で大事なのは「順番」です。AIの返信が思うようにいかないと、つい「もっとちゃんとした仕組みを作らないと」と考えて、複雑な自動チェックの仕組みづくりから始めたくなります。
でも、多くの場合はそこまで必要ありません。手本をもう1つ足すだけで、品質がそろうことは十分にあります。軽い手で解決できるなら、それに越したことはないのです。
今日から始める小さな一歩
繰り返し任せたい仕事を1つ選んでみてください。メールの返信でも、資料の下書きでも構いません。
まずゴールを一文にして、細かい指示なしで一度雑に頼んでみる。それだけで、次に何を直せばいいかが見えてきます。
まとめ
AIへの指示がうまくいかないのは、意志の問題でも、AIの性能の問題でもありません。最初から完璧な指示を作ろうとしていただけです。
「ゴールを決める→雑に1回投げる→手本を1個作る→足りなければ軽い手から直す」——これが今日の takeaway です。
